udon109の日記

30代会社員。調べてみたことや考えたことの記録。

中小企業経営者の引退年齢と健康寿命について

経営者の高齢化を背景として中小企業の事業承継を促進していくことは、現在の経済政策のなかで重要項目の一つです。

他方、定年を迎えたサラリーマンがどう生きがいをもって生活していくか、社会問題として取り上げられることが増えています。

会社から離れて新たな人生を楽しむということに価値を見出すことは、中小企業経営者の早期引退を促し、かつその引退を円滑にする効果があるのではないでしょうか。

 

f:id:udon109:20181013215948p:plain


上記は、男性の健康寿命平均である72.1歳と小規模事業者(いわゆる個人事業主、零細企業)と中規模事業者(いわゆる中小企業)の経営者の引退年齢との差を示したものです。

個人事業主や零細企業の男性社長はほぼ生涯現役といった状況です。中小企業の社長も引退年齢は67.7歳が平均と引退後、何かを新たにするには短すぎる状況です。

 

引退年齢を60歳過ぎぐらいにして、健康寿命が10年ほどあるなかで、経営者としての経験や金融資産を活かしつつ、何か社会活動でもう一花咲かせたり、趣味を楽しむなど人生を謳歌してもらいたいものです。また、それを目標として55歳ぐらいから株式の移転や後継者への権限一部譲渡など早期に事業承継に取り組んだらどうでしょうか。

 

現状では、ロールモデルとなるような先輩経営者も少ないものと思われます。もっと、政府やメディア、各支援機関はそういった人物を発掘し、発信していくことが望まれます。

 

 

女性社員の妊娠・子育てに対する会社や職場の負担、その改善策を考える

昨今では妊娠・出産後もキャリアを継続する女性が増えており、共働き家庭が主流となってきています。妊娠・出産後も同じ職場で働き続けることができる社会の実現が、子育て世帯の家計の安定化につながり、少子化対策としても重要です。

 

では、就労継続を望む女性が妊娠・出産後も働き続けられるためには何が必要でしょうか。家庭、会社、生活環境のそれぞれにおいて要素がありますが、本記事では会社にスポットを当て、会社に女性の就労継続に対する金銭的インセンティブを与え、職場でのマネジメントに変革を与えることを考えます。

 

・女性社員の妊娠は会社にとってマイナスか?

 

会社は、社会保険制度に基づき、労使折半で従業員の社会保険料を負担しています。これは、病気で休職中でも会社の負担は発生しており、例え休職中で従業員への給与が無給であっても、会社は従業員に対する直接費用がかかります。しかしながら、妊娠は病気ではなく、法定の出産、育児休業中は会社が支払うべき社会保険料は免除されます。また、同休業中の各種手当は社会保険料から支払われており、会社負担はゼロです。すなわち、会社は当該従業員に対する直接費用はゼロです。しかしながら、直接費用はゼロであっても、休業者が発生することによる、代替要員の採用コストなど間接的なコストや補充しない、あるいは代替できない社員であるならばその社員が生み出す付加価値が機会損失となり、それもコストといえるでしょう。かかるなか、多くの会社では職場に対し、社員の補充をしない、あるいは代替要員を補充しても、その陣容で同じパフォーマンスを要求するため、職場の同僚としてはたまったものではありません。それが、妊婦の職場のプレッシャーとなり、就労継続を阻害する要因となっています。

 

 

・会社のマイナスを補うインセンティブの設計を考える

 

会社にとって、直接コスト(当該社員の人件費、法定福利費等)が発生しないまでも、間接コスト(代替要員を手配するコスト、機会損失)が発生するなか、職場のマネジメントに負担を吸収させるのは無理があり、間接コストを補う社会的な制度設計が必要です。

最もシンプルな方法が、女性が育休復帰したら補助金を会社に支給する方法ですが、財政規模が大きくなりすぎて、難しいでしょう。

 

・健康保険制度内にて新たな制度設計

 

そこで目をつけたのが、健康保険制度です。健康保険は多くの大企業は会社毎の健康保険組合、中小企業等においては協会けんぽにより運営されています。妊婦への出産手当金等はここから支給されています。各々の健康保険組合に拠出金をプールさせ、出産手当金等の支払実績に応じ、プールされた拠出金を配賦していくというのはどうでしょうか。これなら政府の財政負担はゼロであり、女性が多く、就労継続しやすい会社の上述の間接コストを、その逆の会社が負担している形となります。

 

企業間にて女性社員の妊娠・育休により発生する間接コストを補いあうことで、女性が妊娠し、子育てしながらでも会社にとっては負担がなく、むしろ金銭的にもプラスになるようにすることも可能です。

 

最後に、考えられる問題としては、パフォーマンスが低い社員に対し、結婚、妊娠、出産を促すようなマタニティ・ハラスメントが発生するかもしれません。ほかにもどのような問題があるでしょうか。ただ、会社の間接負担の解消を社会システムの改善で考えず、職場のマネジメントレベルに問題解決を求めるだけでは、現場が疲弊するだけかと思われます。多くの職場において、妊娠・出産を素直に祝福できる社会環境が求められるでしょう。

 

 

 

住宅着工戸数と出生数について

少子高齢化による人口減が進む中、空き家問題が表面化しつつある一方、住宅着工戸数は景気の指標として重要視されています。

2016年は出生数が1百万人を切った一方で、住宅着工戸数も同じく1百万人ということで、ほぼ同数となっています。人口も減っているなかで、造りすぎではなかろうかという疑問が生じてきます。過去はどういった推移だったのか気になり、調べてみました。

f:id:udon109:20170831184007p:plain

バブル期に着工数が増えて以降は、おおむね漸減しています。景況等による増減はありますが、だいたい出生数と1対1で推移しています。世帯数は核家族化と晩婚化により増加しており、その需要増に応じるため、着工数が維持されてきたのでしょうか。

どのくらいが、適正な住宅着工戸数といえるのか気になるところです。

サラリーマンの労働時間について

サラリーマンの労働時間はどのくらいが普通なんでしょうか。気になったので、総実労働時間(出典:毎月勤労統計調査、統計ダッシュボードから作成)を確認してみました。パートタイムではない一般労働者の労働時間の推移は以下の通りです。

f:id:udon109:20170826222950p:plain

データのある1993年頃から現在まで総労働時間はあまり変化はありません。ただ、所定内労働時間が減り、所定外労働時間が増えたようです。

では、この年間総労働時間2000時間強というのは妥当な水準なのでしょうか。以下の通り確認してみました。

週法定労働時間は40時間(一日当たり8時間。9時出社~1時間休憩~18時退社、土日休みといったところ)×52週(約1年)は年2080時間です。

ただし、土日に加え祝日(年16日)を勘案すると、1952時間(=2080時間ー16日×8時間)となります。

さらに、法定有給休暇を20日をすべて取ると、1792時間(1952時間ー20日×8時間)となります。

2017年の年所定労働時間1851時間というのは、土日祝が休日で残業ゼロの場合において、有給休暇を約12日取得(月1ペース)したという計算になります。ただし、所定外を含め総労働時間2024時間となると、有給休暇が年12日を維持している場合、月残業時間が14.4時間ということになります。

土日祝休みで、有給は月1ペース、一日1時間足らずの残業。これが統計上の平均的なサラリーマン像となります。なかなか恵まれていると思うのは私だけでしょうか。正しく実態を把握した統計になっているか気になるところです。

 

なお、業種別で直近H29年6月単月のデータでみたところ、一番総労働時間が長いのは運輸業・郵便業190.0時間。逆に少ないのは電気・ガス業165.3時間です。やはり業種によって、ずいぶんと違うものです。

 

 

ふるさと納税 一人当たりで自治体の収支を見た場合

ふるさと納税。平成28年度は宮城県都城市が地元のお肉や焼酎で人気を集め、72億円という寄付金を集めました。他方、ふるさと納税により税収が減った自治体は人口最大の横浜市(※東京都は特別区に集計)ということで、市民税が56億円減収となっており、都市部から地方へとお金の流れを生み出しています。

総務省のHPから平成28年度のふるさと納税の受入額から税控除額(市町村税)を引いた自治体別の収支を確認してみました。

f:id:udon109:20170826204511p:plain

何十億の流出入ということで、なかなかのインパクトです。では人口一人当たりでみた場合のインパクトはどの程度でしょうか。上表について、住民一人当たりでみた場合の、ランキングを作成してみました。

f:id:udon109:20181014174325p:plain

なかなか際立った数字が表れてきました。まず、ベストの方について。一位の長野県の小谷村は一人当たり90万弱ということで、高齢者の多い小さな村のことを考えると経済的な影響はすごそうです。2位に挙がった高知県奈半利町については、町を挙げてふるさと納税に取り組んでおり、独自サイトや外部組織を住民と作り上げ地域活性化に取り組んでいます。千葉県勝浦市など中規模の市も混じっていることも関心深いです。 

ワーストについて、1位に挙がったのは千代田区で一人当たり1万強。これは、市町村民税控除額だけの数字であり、実際の寄付金額は総額16億(市民税額控除分6億)です。一人当たりの寄付金額は3万円弱です。世帯で考えてみると…。

ただ、10位に入る品川区で一人当たり3千円程度とそこまで大きい金額ではありません。都市部における自治体サービスへの影響は、もともと金持ち自治体ということもあり、そこまで無いのかもしれません。

なお、8位に入っている山梨県忍野村ファナック企業城下町。さすがファナックです。