udon109の日記

30代会社員。調べてみたことや考えたことの記録。

女性社員の妊娠・子育てに対する会社や職場の負担、その改善策を考える

昨今では妊娠・出産後もキャリアを継続する女性が増えており、共働き家庭が主流となってきています。妊娠・出産後も同じ職場で働き続けることができる社会の実現が、子育て世帯の家計の安定化につながり、少子化対策としても重要です。

 

では、就労継続を望む女性が妊娠・出産後も働き続けられるためには何が必要でしょうか。家庭、会社、生活環境のそれぞれにおいて要素がありますが、本記事では会社にスポットを当て、会社に女性の就労継続に対する金銭的インセンティブを与え、職場でのマネジメントに変革を与えることを考えます。

 

・女性社員の妊娠は会社にとってマイナスか?

 

会社は、社会保険制度に基づき、労使折半で従業員の社会保険料を負担しています。これは、病気で休職中でも会社の負担は発生しており、例え休職中で従業員への給与が無給であっても、会社は従業員に対する直接費用がかかります。しかしながら、妊娠は病気ではなく、法定の出産、育児休業中は会社が支払うべき社会保険料は免除されます。また、同休業中の各種手当は社会保険料から支払われており、会社負担はゼロです。すなわち、会社は当該従業員に対する直接費用はゼロです。しかしながら、直接費用はゼロであっても、休業者が発生することによる、代替要員の採用コストなど間接的なコストや補充しない、あるいは代替できない社員であるならばその社員が生み出す付加価値が機会損失となり、それもコストといえるでしょう。かかるなか、多くの会社では職場に対し、社員の補充をしない、あるいは代替要員を補充しても、その陣容で同じパフォーマンスを要求するため、職場の同僚としてはたまったものではありません。それが、妊婦の職場のプレッシャーとなり、就労継続を阻害する要因となっています。

 

 

・会社のマイナスを補うインセンティブの設計を考える

 

会社にとって、直接コスト(当該社員の人件費、法定福利費等)が発生しないまでも、間接コスト(代替要員を手配するコスト、機会損失)が発生するなか、職場のマネジメントに負担を吸収させるのは無理があり、間接コストを補う社会的な制度設計が必要です。

最もシンプルな方法が、女性が育休復帰したら補助金を会社に支給する方法ですが、財政規模が大きくなりすぎて、難しいでしょう。

 

・健康保険制度内にて新たな制度設計

 

そこで目をつけたのが、健康保険制度です。健康保険は多くの大企業は会社毎の健康保険組合、中小企業等においては協会けんぽにより運営されています。妊婦への出産手当金等はここから支給されています。各々の健康保険組合に拠出金をプールさせ、出産手当金等の支払実績に応じ、プールされた拠出金を配賦していくというのはどうでしょうか。これなら政府の財政負担はゼロであり、女性が多く、就労継続しやすい会社の上述の間接コストを、その逆の会社が負担している形となります。

 

企業間にて女性社員の妊娠・育休により発生する間接コストを補いあうことで、女性が妊娠し、子育てしながらでも会社にとっては負担がなく、むしろ金銭的にもプラスになるようにすることも可能です。

 

最後に、考えられる問題としては、パフォーマンスが低い社員に対し、結婚、妊娠、出産を促すようなマタニティ・ハラスメントが発生するかもしれません。ほかにもどのような問題があるでしょうか。ただ、会社の間接負担の解消を社会システムの改善で考えず、職場のマネジメントレベルに問題解決を求めるだけでは、現場が疲弊するだけかと思われます。多くの職場において、妊娠・出産を素直に祝福できる社会環境が求められるでしょう。